松井鉄工所 際カッターの応用

松井鉄工所から、柱の首切り専用の電動工具『際カッター』が販売されていますが、取扱説明書を見る限り、荒床を貼ってあること前提で使用する工具のようです。
そのことは入手する前から百も承知でしたが、当然、荒床を貼っていない場合に首切りをしたい場合もあります。そこで、応用するための冶具を考えたのですが、


まず、根太ピッチより少し長い垂木に、根太ピッチより少し短い桟木を垂木から出すようにずらして打ちつけます。

それを首切り位置の両脇に、ずらした桟木が内側に出るように根太間に入れて垂木を固定します。その桟木に対して高さ定規となる床材を固定したらOK。

あとは横にビーッとやって完了ですが、この時に注意しなければならないことが一つ。柱のすぐ脇の際根太なのですが、これがカッターの切削開始位置より短かく切られていれば、高さ定規より少しでも高い場合に、荒床がある場合と同じで高さ定規に合わせて削られてしまうので問題ありません。しかし、上図のように切削開始位置まで際根太が伸びている場合に高さ定規より少しでも高いと、切削開始位置の真下の部分は高さ定規に合わせて削ってはくれません。

これは切削刃物の中央部分に刃が無いためです。丸ノコの刃に外周のチップ部分しか切削能力が無いのと同じです。しかも、切削能力の無い台座の部分が際根太と接触して振動してしまいます。そのため、際根太を通したり、長くする場合は高さ定規の下端と際根太の上端が完全に同じか、少し低いぐらいになっているかどうかを加工前に確かめる必要があります。

最初から際カッターを使う予定であれば、際根太を上図よりも短くしておくのがベストです。

去年購入した工具

3年半前に、(もうそんなになるのか…)マキタの85mm充電式マルノコの長所・短所について書きましたhttp://d.hatena.ne.jp/SL550/20130605/1370434144

このマルノコの最大の欠点である電池の低容量は本当にどうしようもなかったのですが、昨年、マキタの10.8V工具はスライドバッテリ式もラインナップされ、バッテリも1.5AHと4.0AHが加わったので、わりと即行で買い換えました。

その結果、ようやくおもちゃから道具になったという感じです。今までは、電池がいつ無くなるか分からないようなおもちゃだったので、2階で使うにしても必ず予備電池と充電器をセットで持ち運んでいましたが、新型のスライド4.0AH電池は残量表示付なので確認して、マルノコ単体で持ち運べるようになりました。何より、電池が持ちます。1.3AH電池との差は数値以上で、残量表示のランプの4点灯のうち、1つでも付いていれば1.3AH電池の満充電より多く残っています。改善点としては、やはり未だに鉄板ベースを採用しているため、精度が良くないところです。マキタからは「電動アシスト手ノコというのがウリの商品なので」という声が聞こえてきそうですが、本職の手ノコをなめないで下さい。墨線1本残す残さないの精度で挽いていますので。

その後マキタは、スライド10.8V電池シリーズを発表してわずか1年で、2代目のインパクトドライバーの新型を発売しました。

これが10.8V、質量約1キロながら135N・mという強力型で驚きました。このトルクを聞いて思い出すのは、


こんなのや、

こんなのや、

こんなのです。ニッケル水素電池最終型世代、懐かしいですね。初めて買ったインパクトドライバーが、これらのインパクトドライバーやリチウムイオン電池ではないという職人さんは、もうおじさんということになります。
これらは全部ニッケル水素電池なので、今主流の18Vインパクトドライバーより重たいです。それが1キロ機と同スペックになったということは、改めて充電工具の進化に脅威を感じます。

絶滅危惧種②電気ミゾキリ

以前、丸太柱の壁じゃくりを下地を付けてからでも行えるため、際切り出来る充電式丸のこが重宝したと書きましたが、その加工内容が未定でもない限りは、本来は加工のしやすさ等から考えて丸太柱の小穴加工は現場に建てる前にしておくのが普通です。そこで、溝を突く機械といえばミゾキリですが、そのままでは丸太は丸いのでベースが安定しない為、バタ角等を丸太の隣に置いて、その上に合板等を打ち付けてミゾキリはその上を走らせます。


かつ角材と違い元口と末口で径が異なるので、建付が関わる収まりの加工の場合は元口から末口にかけて小穴は浅くなっていかなければなりません。そのため、丸太によっては6尺間の小穴を突く場合でも元口から末口にかけての深さの差が1寸以上になることもあります。しかし、現行の小型ミゾキリ、仕上ミゾキリ、胴縁ミゾキリ共に最大切込み深さ自体が1寸程度なので、末口側の小穴の深さはゼロになってしまいます。そこで考えたのが

この電気ミゾキリです。写真の機械は冗談抜きで半世紀以上経過しているヴィンテージ物です。しかしこれも、最大切削深さは1寸程度で現行の物と変わりません。ではそんな古い機械がどのように現行のミゾキリに勝るかというと、見ての通り、現在のミゾキリよりデカいのです。これには理由があり、電気ミゾキリには180mmの7インチのマルノコの刃が取付可能になっています。(現代の7インチの刃といえば190mmですが、以前は180mmでした。)以前はマルノコにはアルミベースの物などなく、ペラペラの鉄板ベースに、後部は華奢なリベット1個で留めてあるだけで、平行定規もペラペラの1本差しだったので精度が出ませんでした。そのため、定規もきちんと作られている電気ミゾキリを使って材料の挽き割りをしていました。このデカさを利用して考えるのは当然、デカい刃を付けて加工することですが、いくらデカいとはいっても、200mmを超える溝突盤の刃は付けられず、ボツ案になりかけましたが、イイ物を思いつきました。それが

このカッター刃です。現在のミゾキリ刃は120mmがメインですがこの刃は140mmあります。知る人ぞ知るこの刃、実は松井鉄工所製のラジアルカッターという機械用で格天井の組子を作る時に、格縁の相い欠きに使用するための刃です。

現在でも、ラジアル21という名前でこの機械は販売されています。ではこの専用刃が何故電気ミゾキリにフィットするかというと、ラジアルカッター自体が電気ミゾキリを改造して作られたものだからです。しかし、ラジアルカッターにベースは存在しません。そのため

電気ミゾキリに組子用カッターを付けるとこの赤い部分が当たってしまうので、グラインダーで拡張します。ここだけいじれば組子用カッターを付けても他は干渉しません。

余談ですが、この機械、半世紀以上前に作られた物なのにもかかわらず、現在のミゾキリにも無い先進的?な機能を搭載しています。それが

このソーカバーの裏の上部分にあるオレンジ色のボタンです。これは復帰ボタンといって、モーターに過負荷がかかった時に自動停止して、このボタンを押すと再度使用出来るという機能です。この機能、現代にも負荷の大きい切削機械にはあっても良いのではないでしょうか。

専用工具の違った使い道Ⅱ


これは丸ノコさんです。通常、木材を切断する為に使用されますが、この図の丸ノコの状態では木材を切断することが出来ません。別にプラグを差していないからとか、故障している訳ではありません。普段使用されている方は一瞬で分かると思いますが、刃の取り付ける向きが表裏逆だからです。が、あえてこの状態で使用する方法というか、この状態でないといけない状況を紹介します。それは

この綿系の断熱材を切断する場合です。この製品の場合、正しい施工方法は

このようにハサミとなっていますが、ハサミだと十数秒、間崩れ部分の狭い箇所用に縦方向に切断する場合は1カットあたり数分かかってしまいます。カッターナイフでも試しましたが、グラスウール系と違い防湿フィルムが無いので、引っ掛かって断面が汚く崩れるだけです。断熱材カッター等も販売されていますが、波刃系カッター・熱線系カッター共にフェノール系・ポリスチレン系の固形断熱材用で、綿系の断熱材には使えません。(綿系でもある程度繊維でまとまっているような物ならピザを切る型のロータリーカッターで切断出来ます。)で、丸ノコで切断する場合はイメージ出来るとは思いますが、通常の刃の向きだと、綿に刃が接触した瞬間、一瞬で丸ノコに巻き込みますので、切断出来ません。当然、切断出来ない以前に危険です。しかし、刃の向きを逆にすることで刃の裏で撫でて切断していく形になるのでほとんど巻き込みはありません。切断方法としては、

グラスウールをカッターナイフで切る時と同様に、この様に合板等で重荷をかけて切断するのが適していると思います。この方法でなら100mm厚の断熱材も充電式の主流である125mm径の丸ノコでも1発切断出来ます。

木材の切断とは違い、モーターにかかる負荷がほぼゼロなので、この間、約2秒足らずでこなしてくれます。普段から、手作業で1時間以上かかる厚物の挽き割りですら数分で終わらせる丸ノコさんですので、これしきの綿ごとき、大したことではないのです。

通りで…

高級替刃式鋸の「○○な奴」でお馴染みの鋸工房が倒産していたというのを今日知りました。
以前から私は「硬い奴」「キレる奴」を使用していて、最近では「黒い奴」という両刃鋸を愛用していましたが、去年ぐらいから替刃を販売しているサイトが無くなったことに気づき、「黒い奴」の廃盤かと思っていました。
ところが、大工道具通販大手のホームメイキングで豊富にあった鋸工房のラインナップが無くなり、不審に思っていたのですが、まさかこのような結果になっていたとは知りませんでした。

しかし何故か、大工道具通販大手の道具道楽には「大吉堂」というブランド名で未だに「硬い奴」が販売されています。「大吉堂」とは、「鋸工房」になる前のブランド名だった筈です。かつ、「硬い奴」の改良版として「石頭」が発売された筈ですが、そうなると型落ちであるはずの「硬い奴」を取り扱っている理由が不明です。

代用品として、高級替刃式鋸ブランドとしてはおそらくシェアNo.1である木島精工の「峰の嵐」の尺目を購入してみました。
使用感としては、剛性も高い感じで結構永切れします。鋼の反発が強く、錆びないので玉鳥のブルーハードの様な感じです。ブルーハードより切り進みがスムーズですが、ゴリゴリと被削材を擦り減らして切り進んでいく感じがブルーハード同様に高級鋸特有の繊細さを欠いている様な感じがして、個人的にはあまり好きになれませんでした。
鋸工房の代用品として「峰の嵐」ともう一つ購入してみたかったのがヒシカの替刃式両刃鋸です。ヒシカはプロンリーという片刃式鋸で初めて縦・横・斜め全方向を切断出来るマド目(横挽き刃の内の何枚おきかに縦引き刃が並んでいる)を採用したメーカーです。今ではホームセンターでもバクマのマド目の鋸を目にすることができます。後発で鋸工房にも大吉堂時代に「トリプルな奴」というマド目の鋸がありましたが、これは私が使用することなく廃盤となってしまいました。ヒシカのプロンリーは以前使用した事があり、これは縦挽きも可能なマド目と謳ってはいるものの、縦挽きのレベルとしては縦引き可能とは言い切り難い程のレベルでしたが、横挽きはマド目に関係なく食い付きがよく、切り進みがいい鋸でした。今では岡田金属のゼットソー・タジマのゴールド鋸のコストパフォーマンスの良さ故に、他の横挽き鋸は使わなくなってしまいましたが、せめてゼットソーの倍額くらいでプロンリーが買えればと常に思います。
今度、ヒシカの「別所二郎作」というの両刃鋸を購入してみますので、気が向いたらまたレポート致します。

激レア建築資材→道具へ


コーチボルトとは、通常こうなっていますが、その箱の中に

!!こんな奴がいました。木ネジのコーススレッド等で螺旋を切っていないものやプラス穴が浅すぎて使い物にならない物ははまれに見かけますが、コーチボルトでこれは非常に珍しいと思います。木ネジとは違い、コーチボルトは単品で購入する方もいるので、こんなの来たら怒っちゃいますよね。
しかし、これはこれで使い道が無くは無いのです。4〜5寸釘の釘締めや、込み栓を外す時に重宝します。ただ出番が滅多に無いのは言うまでもありません。

右がコーチボルト、左が込み栓外し?です。