専用工具の違った使い道

今回は、使い道の決まっている専用工具の別の用途を紹介したいと思います。


この胴差にに深さ0.7寸の横穴を施す加工です。下屋の垂木が120mm角の為、垂木掛けではなく直接胴差に差す穴です。

まずは、小径の丸のこで筋入れします。小径なのは切り代が少ない中でより深く切る為です。

こんな感じです。墨ピッタリの筋入れも小型で取り回しの良い丸のこだと簡単です。

次に36mmの穴を1つだけあけます。穴だらけにして崩していく刻み方もありますが、あける個数が多くなるのと、1個1個穴の深さに気を配っていると面倒臭いので。

出来ればこの位置、前から見て手前左側がベスト。次に使用するのが今回のメイン

大入れルーターです。実はこの機械、ショート仕様で1尺までの材料しか加工出来ないのですが、年の初めにお世話になったtoshikaneさんのお陰で尺2寸巾の材料まで加工出来るようになりました。

先程あけた穴にストレートビットの方を下ろします。

ここまできたら、

あとは さらって、

完成です。最後の鑿以外は各作業1分くらいで済むので簡単です。


前述の通り、今回の大入れルーターは1尺巾までしか加工出来ないタイプで、かつ大入れも5寸分しか可動しません。しかし、今回この横穴は6寸くらいまでの位置までありました。その為、臨時改造を施しました。それは、

前側の金属製ガイドを穴1個分ずらして手前側に送ってみました。これにより、6寸分可動しますが、機械を一番手前側に送った位置の時、つまり蟻ホゾの女木を作る時の始まりの刃の位置が既に材料の上に来てしまうので、こうすると通常の蟻ホゾの女木加工には使えません。それと切削屑から目を保護するための透明のカバーを押さえる爪が前面にあったのですが、今回の臨時改造で削り取ってしまったので、カバーは取りつけることが出来なくなってしまいました。

出番急上昇の階段定規、しかし定規との相性がある溝切PG21BB

前記の階段定規ですが、このところ出番が多く、前回から3ヶ月足らずで再び箱を開けました。

前述の通り、非常に優れた定規です。その使い方ですが、

使用する前に、加工する勾配の墨に定規合わせて裏に付いているレバーを回して固定します。

まず、ミゾキリのベース左端から刃までの距離を測り、それに定規を合わせ、墨線を合わせて被材と固定します。

次に、ベース上端から刃までの距離を測り、ミゾホリの止まり定規を設置します。

止まり定規に当たるまでミゾホリで切削します。これの繰り返しです。

この作業に限らず、傾斜を付けない溝加工で最も優れている溝切と言えるのが日立工機製の造作溝切PG21BBです。この機種は、刃物が他の溝切より小さく、専用の刃でないと取りつけることが出来ませんが、そのお陰でベルト式溝切の安定性と小穴カッタ並みの軽量を両立しています。

他にも、このように深さのストッパが付いている為、

途中から差し込み使いして加工する際にも1発で深さを決められるのです。

しかしながらこの機種、この階段定規と併用すると問題が発生します。それは

このベルトカバーの部分が当たって階段相応の深さまで溝を突く事が出来ないのです。なので

ベルトカバーを外して加工します。こうすることで最大4分程度の深さまで溝を突く事が出来ます。

ただ気をつけないとならないのが、ベルト露出で使用するので

コードを傷めたりして自爆してしまうのです。しかし、コードより更に補助ハンドルを握る左手に注意しなければならないのは言うまでもありません。

絶滅危惧種①階段定規

工具に限らず、大概の製品は常に改良され、新しくなるものですが、一方で需要が減るなどの関係で、必要であっても絶版になってしまう工具もあります。
そのうちの一つに、階段定規があります。この定規は主に階段の側桁の加工の為に作られた定規です。が、現在では階段の加工はほとんどプレカットが主流なので使う方も少なく、実際にこれを販売していた店も、今は取り扱っていません。

この定規は丸のこ定規の様な角度設定ツマミに加えて、材料に固定するためのバイスが前後に付いています。
この他、段板じゃくりの前面でミゾキリを止めるストッパーや、ミゾキリの刃の位置を設定して、それに合わせて定規の位置を決め、加工する時は邪魔なので振り子形式で逆側に倒せる定規、ルーターでも使用出来るように四角く囲う定規等が付属しています。
ちなみに回り階段部分の加工は勾配が鈍いので、上記の長さでは足りません。しかし

この様にして連結して長さを倍増させることも出来るのです。

この工具は使用頻度が少なく、消耗・摩耗とはほぼ無関係ですが、一部のユーザーにとっては必需品なので、伝統工芸品の様な扱いにしてでも残すべき工具です。

コードが無いこと以外に役立った、C14DBL最初の仕事

マキタに続き、日立からもスライド式リチウムイオン電池の丸のこが発売されて数年が経ちますが、去年マキタから切断スピード・1充電あたりの作業量が大幅にアップしたブラシレスタイプの改良版が発売されました。遅れること1年、日立からも同様の製品が発売されました。

従来の充電式の丸のこは玩具と言っても良い程非力で、リチウムイオン電池になってからは回転数こそ有線タイプに劣らなくはなりましたが、それでもインパクトドライバの様にメインで使えるようなパワーはありませんでした。私はそれを分かっていたので今まで購入しなかったのですが、マキタのブラシレスタイプで改善されたのを知っていたので、日立の新型も同等品だと思い、購入。それでも有線に比べれば非力なのは分かっていたので、箱のまま放置していたのですが、近いうちに使わざるを得ない時が来ました。丸太柱に部分的に壁が付く箇所があり、壁じゃくりをしなければならない部分があったのですが、先に下地が組んであったので機械が使えません。それ以前に相手が丸太なのでミゾキリ等は使えないのです。そこで最近買った充電式が際切りである事を思い出しました。

際切りが出来る丸のこなので、丸のこを下地に沿わせて、しゃくり部分の右側と左側に分けて2回縦挽き。当然、この柱は見えてくるので、丸のこが跳ねて他所に傷を付けることは厳禁でしたが、予想以上に上手くいきました。高さこそ4尺しかない壁でしたが、このあとは入れた筋の中を鑿で崩すだけなので非常に楽が出来ました。

=新型は針葉樹なら縦挽きに使っても過負荷をかけなければ回転数が変わらないくらい安定して切断出来ます。その後も何回か使用しましたが、他の人が使っている従来品と比較すると、電池が少なくなってきた時のパワーが圧倒的に違います。新型は電池が減ってきても、それほど元気がなくなっていく感じがしないのです。

意外な方法で解決?ビットの抜けない好色インパクトWH14DDL

1月に日立の現行インパクトのWH14DDLのレポートをしました。当時ビットが抜けない事に悩まされていましたが、現在は普通通り脱着出来ています。その解決方法なのですが、やはりビットにありました。そのビットがこちら

一見なんのアドバンテージも無い普通のカラフルなビットですが、これがWH14DDLの心を動かしたようです。というのは、このビット、1番ビットはゴールド、2番ビットはピンク、3番ビットはブルーと+の大きさで色分けされているのですが、それが分かりやすくてDIY女子に人気らしいのです。本職の方からすればビットの番手などパッと見ればわかるものですが、女子に人気とあらばWH14DDLも機嫌がいいのでしょう。



・・・・という事で、ビット先端を細くしていないビットなら脱着には問題なさそうです。木工錐など、両頭でない物も問題なく使用できました。

やっと改良されたタジマ(ミロク)製筋交定規「如意棒」

先日ホームセンターの売り場を見ていたら、見慣れない黄色と黒の筋交定規があったので、何かと思ったらタジマ製でした。従来のタジマの筋交定規は赤と銀だったので、シンワかどこかが対抗して新しく作ったのかと思いましたが、タジマだったので、やっと改良したか、と。

というのも、私は以前タジマに「この筋交定規は改良する必要がある」と問い合わせのメールを入れたことがあります。私が19の時なので、もう7年が経つのですが、他に同じ意見がある人が大勢出ない限り、改良されることはないと諦めていました。

で、その改良点の一つが
「裏向きで筋交に当てると長さ固定するツマミが当たってしまって使えない」事です。片側には定規の長さを固定するツマミが付いていて、定規両端の罫書きに使用する直角部分よりツマミの方が出っ張っているので、ツマミの無い方に筋交を当てなければなりませんでした。これによって筋交の向き(入れ方向)によって、筋交の室内に向けたい側に定規を当てて罫書く・筋交の外側に向けたい側に定規を当てて罫書く というのが筋交の反り方向によって決まってしまうのです。これが新製品では、固定ツマミより両端の罫書き定規の方の出を長くすることで改良されていました。

残念だったのは、もうひとつの改良点
「1階で採寸する際、GLや基礎上で作業すると固定ツマミに手が届かない」
という点が改良されていなかった事です。確かに1階2階共総ネダレス工法で、荒床が先に張られる工法が増えていますが、全ての在来工法がそうなったわけではありません。荒床が無い場合は、わざわざ不安定な土台の上に乗って固定ツマミを留めに上がらなければなりません。これも7年前に書き込んだはずですが、取りいれてもらえませんでした。

元気のいいインパクトドライバ 日立 WH14DDLのレポートのはずが…

下記のインパクトドライバを購入したのでレポートです。下記の写真は白かつ欲しい色も白でしたが、『どうせなら5.0Ahを購入されてはどうでしょうか?』というtoshikaneさんのアドバイスにより5.0Ahの緑にしました。5.0Ahには白が無いのです。何故なのでしょうか…

まず、タイトル通り非常に元気がいいインパクトドライバです。長さ90mm以上のネジを打った時の負荷による減速が旧製品と比較して非常に少ないです。これが新機構ACSの恩恵でしょうか。……で早速このACSの話です。ストレスの無いビス打ちを目的とした、おそらく「負荷を感知して本気出しますモード」の様な物なのですが、この機能、場合によっては迷惑な機能だったりもします。確かに、ビスを打つ時には快適ですが、ボルト締めの作業になると一転、「過負荷を感知して諦めますモード」と化すのです。確かに適度なトルクで座金が食い込みかけてから発生するので通しボルトなら別に問題無いのですが、これよりトルクの必要なコーチボルト等は頭が浮いている状態で手加減しだすので厄介です。旧式までは力の限り締めてくれていたので、逆に不快です。過負荷による本体の保護が目的だとは思いますが、マキタに便乗して需要の少ないテクスモードを設定するよりは手加減をしないボルトモードを設定して欲しかったです。

あともう一つ、非常に大きな不満があります。しかしこれは日立工機に非があるとは限りません。それは…
ビットが抜けないのです。90mmのコーススレッドを1本打っただけで、抜けません。本当に抜けません。ペンチで引っ張っても抜けません。逆側にもインパクトを付けて2人で引っ張っても抜けません。バールをビットのボール溝に引っ掛けて金槌で殴ってやっとです。当時雨中の作業をしていたのでチャックの錆が原因かと思っていましたが、スプレーで円滑にしてもダメでした。今手元に無いので原因は分かりませんが、私の2つの予想では日立工機

『■ビットのブレを低減

アンビル部の精度を向上させ、ビットのブレを低減しました。』

とか言っているので、ビット穴径がミクロン単位で狭くなってビット脱着のクリアランスが少なくなったのではないかという考え 

と、今回インパクトドライバの購入に合わせて購入したベッセルの新ビット「マグナムビット」のチャック内の接地面積の少なさが問題なのかもしれません。このビットは微妙にスレンダービットの能力も併用しているので、六角軸がプラスの面まで伸びていません。もしこれが原因ならスレンダービットを使用しても抜けなくなるということになりますが。

あと、このマグナムビット、使用する度に「そのくるくるは何?」と聞かれますが、これはビットを脱着するのにチャックを引いただけで出るという脱着アシスト的な物らしいのですが、近年のインパクトドライバはチャックもコンパクト化されているので、装着しても圧縮力を与えるバネ代がありません。一言で言えば無意味です。ベッセルの公式動画ではきちんと作用していますが、この脱着の説明時だけボディの短縮化にあまり興味のないパナソニック製に替えて実演しているのが何よりの証拠です。